神仏習合
ヒンドゥー教徒は、神像にティカと呼ばれる赤い顔料を塗り、神の恩恵があるようにと、それを自分の額に塗る。ネパールでは、仏像にもティカが塗られていた。
シヴァ神の男性器と女性器を表すシヴァリンガの上には、小さな仏舎利が建っていた。シヴァ神の性交によって生まれたこの世界に、釈迦が生まれ、そして入滅したということを意味しているのだろうか。
ヒンドゥー教では、釈迦はヴィシュヌ神の化身と考えられているが、インドでは仏像にティカが塗られているのは見たことがなかった。それどころか、ヒンドゥー教の寺院では仏像さえ見られなかった。ヒンドゥー教徒によって仏教が迫害された歴史があるからなのだろう。コルカタのインド博物館には、顔の削り取られた仏像が何体も展示されていた。
ネパールでは、ヒンドゥー教と仏教が共存している、と聞いていた。実際に訪れてみると、共存どころか完全な習合を見せていた。かつて日本の神道と仏教がそうであったように。